ドイツの歴史を学ぶ際に避けて通れないのが、ナチスによるユダヤ人迫害の歴史です。
詳しく調べると、ホロコーストの犠牲となったのはユダヤ人だけでなく、障がい者やマイノリティの人々も含まれていたことがわかります。
知れば知るほど悲しくなるこの凄惨な出来事を、そして犠牲となった多くの人々を忘れないために作られているのが、Stolperstein、日本語では「つまずきの石」と呼ばれるものです。
つまずきの石とは、地面に埋められた10cm四方のプレートに、ホロコースト犠牲者の名前などが書かれているものを指します。
ドイツ人アーティストが始めた活動で、ドイツだけでなくヨーロッパ各所にあって、今もまだ増えているようです。
この存在を知ってからドイツの町を歩くと、想像以上にいろんな所に埋められていることに気付きます。
つまずきの石がある場所は、例えばそこに書かれた犠牲者が追放される直前まで住んでいた家の前など、その人にとってゆかりのある場所です。
それが私にとっても身近な場所だったりすると、そう遠くない過去に同じようにここで暮らしていた人が、罪もなくいきなり迫害されるようになった、という事実を、よりリアルに突きつけられる気がします。
先日、歩道に埋められたつまずきの石に花を添えている人を見かけました。
普段はそこを通る人がその上を気付かず歩いているくらい、ひっそりとしたそのつまずきの石に、あの人はどんな思いで向き合っていたのかな、と今でも時々思い出します。
私はつまずきの石についてラジオで偶然知りました。
個人的には知っていてよかったと感じたので、この記事も誰かの良い偶然になったら嬉しいです。
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